御陰様で生きる
近所のお寺で見つけたボードの文言
「御陰様で生きる」
夏がきたら冬がいいと言う。
肥えれば痩せたいと言い、痩せれば肥りたいと言う。
忙しければ暇になりたいと言い、暇になれば忙しい方がいいと言う。
自分に都合のいい人を良い人だと誉め、
自分に都合が悪ければ悪い人だとけなす。
人間は元々得手勝手なものだが、こいつが過ぎれば、
鼻持ちならぬ傲慢心となり、独善排他のわがままの根性となる。
借りた傘も雨が上がったら邪魔。
金を持ったら古い女房は邪魔。
所帯を持ったら親さえ邪魔。
義理も人情も愛情も肉親の情もあればこそ世の人となる。
誰もかれも、どこもかしこも、かさかさ乾ききった味気のないこの頃、
世の人情にしっとり濡れてみたい。
衣食住は昔に比べれば天国だが、上を見ては不平不満の毎日だ。
隣をながめては愚痴ばかり。
何で自分を見つめないのか、静かに考えてみるがいい。
いったい自分って何だろう。
親のお陰、先生のお陰、世間様のお陰のかたまりが自分じゃないか。
つまらぬ自我妄執を捨てて、得手勝手を慎んだら、
世の中はきっと明るくなるだろう。
俺が、私が、を捨てて
お陰、おかげで暮らしたい。
2017.05.25